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【外観/操作面】

(1)チルトや大きさ、重さについて

この3カ月使ってみて感じたことは、「とてもバランスの良い機種」だということ。

チルトも十分であるが、贅沢を言えばセルフィ側にも回転してほしい。

ただし手放しで喜べない点もある。フルサイズのため、APS-CのFUJIFILM機器と比べるとやはり重さを感じた。この点でセルフィがでは持ち方が難しい。
特にレンズが重いため、運搬した時の重さは1kgを超えるケースが多くなる。
トータルバランスで重さを支えながらボタンを押したりする面で若干使いにくい。
a7m3(ILCE-7M3)本体だけではなく、SONYレンズの「FE24-105mmF4」という解像感とズーミングの良さのバランスがとれたズームレンズはこの重さに慣れる必要を強いられる。



<結論>

フルサイズなので多少重くなるのは仕方がない。が、フルサイズにしては、全体的に軽く、特にボディはとても軽く持ちやすく万人に丁度良い形や大きさである。

ボタンを軽快に操作するには、あと100g軽い方がベストで、レンズは軽いものを選べると使いやすくなる。少なくても、FE24-105mmGは重い。
また手が少し大きい人は小指を持て余す傾向にあるが、私自身はあまり気にならなかった。

(2)メニュー操作周り・UI

総じて雑然と機能を並べただけのメニューである。はっきりいって整理されておらず使いにくい。
特にAFのエリア面、フォーカスのモード面について多機能をド~んと並べた感があり、直感的な操作体系になっていない。
非常に多くの機能があるが、何処に何が在るのかよく迷う。とりたてて今の仕草を別の仕草に変えるためのモード切替が判りにくい。
一般的には耳にしにくい用語が多用されているのも問題。
但し、慣れてくると一定の範囲しか切り替えなくなってくる。いや、そういうセッティングをすることで苦にならなくなる。
ボタン配置としては、Cボタンがもう一つ欲しいのと、録画ボタンが邪魔で間違って親指で押してしまいがちな処が残念だ。


<結論>
素早く必要な機能のみにアクセスできるよう、ボタン割り当てやメニューカスタマイズをかなり絞り込み、余計なことは諦めるくらいの気持ちで自分流にアレンジすることが大切。

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【Rとの違いの影響】

(1)目立つ違いについて

購入の検討に上がる機種として、安くなったα7R2と上位に位置する価格のα7R3、つまりRの2か3との比較検討される方が多いと思われる。
R2は手振れ補正がついており、安くなっているので魅力だろう。2では想像を絶する電池の持ちの悪さ、それにピントの合わせやすさが3と比べて格段に違う点をガマンできるなら旧型の2が選択肢に入る。私にはとても無理なガマンだ。安いのには理由があるのだ。

R3を選ぶと、「EVF」の綺麗さ、解像度42MPの精細さを得られる代わりに「ピントの合う範囲・合いやすさ」と「2倍テレコンのF11対応」が得られない。更にはRを選ぶと、その分データサイズが大きくなる。PCの速度や記憶容量の拡張が必須となるなど、他の要素での出費も多い。
これだけの理由があるのにR2を選ぶ人はお金をドブに捨てられる賢者様だ。

<結論>

マクロがやりたかったら素直に高解像度のα7Riii〜高解像度の3を選ぶべし。
マクロを目的の中心においていないならばα7m3で良し。悩まずこのスタンダードを買って良いと思われる。
使ってみて物足りないなら次のモデルが出た時に買い替えればいいという考え方が良い。
また、α7Riiiとの違いにα7RiiiはEVFや背面液晶の見やすさがある。
しかしながら併用して感じたのは、よほど凝視するシーンが多い鳥さんを撮るケースが多くななければa7m3(ILCE-7M3)でも大差はない。

解像度が42MPのRにすると、得られる絵はキメ細かくなる一方で、ピントはシビアになり、PCへ取り組む際のデータサイズも連写でバカにできないほど膨れ上がるため、周りの環境も揃える覚悟が必要となる。iMac5KやiMacProを揃えられる人にしかα7Riiiはオススメしない。


(2)使用感での違い

正直、α7Riiiとの使用感的な違いはAF周りをどう考えるかによる。
解像度42MPの魅力はマクロや昼間の鳥さん写真で差が出る。しかし動体のピント合焦では、認識範囲が広くなる分スタンダードなa7m3(ILCE-7M3)の方が俄然使いやすい。
また、Rでは対応していない2倍テレコンのF11使用可能な点は優位で魅力のある機能だ。ただし、実運用面としては、Riii+1.4倍のテレコンでも解像度によるトリミングでトントンな感じでもある。

<結論>

お金があるなら「R(α7Riii)」との併用。どちらか、という選択肢は考えない方が良く、悩まずa7m3(ILCE-7M3)で良い。

バッテリ


【追加で必要なもの】

(1)電池まわり

正直、充電器の無いカメラを購入したのは、このスタンダードであるa7m3(ILCE-7M3)が初めてだ。20万レベルの買い物で「これはないだろう」と思う半面、充電装置は数千円しない安価なもので代用できる。
純正が良ければ1万円程度の充電器が用意されている。

<結論>

amazonなどでサードパーティの充電アダプタを購入すれば十分だ。純正の充電器を買うくらいなら2つ目の電池を買おう。
1,000枚撮れるレベルのスタミナがある今回の電池、とても満足で「ミラーレスのカメラの電池が持たない」というのは過去のイメージとなった。

但し、なまじ持つだけに過信は禁物。
まだあるから、といって使った後に充電を忘れることもある。
個人的には、そのために予備電池を用意した。そのお陰かちょっとした旅行では充電器を持っていかなくても済むようになったのはありがたい。
充電器よりスマホ用のモバイルバッテリーやカーシガレットからのケーブルで十分になったからだ。

その点で、同梱品に充電器が付属しない、というのもありなのかもしれない。

(2)ストラップまわり

正直、好きなものを買うと良いと思われる(笑)
ピークデザインのライト(色がシルバーのアッシュ)と、黒の両方を試したが、新型のシルバー(SLL-AS-3)の方が大きさのバランスが良く使いやすい。


(3)三脚選び

BeFreeのα7向けのものも興味を引くが、個人的には中途半端な三脚ではなく、しっかり耐荷重7kg以上あるレベルのものを購入することをお勧めしたい。
ボディは確かに軽いがレンズが重い。例えばFE100-400mmを候補にしているならなおさらで、三脚の脚が貧弱のものを選ぶと結果全体的に倒れやすい。
液晶は満足できない人も多いと思われるため、人によってはセカンドモニタやiPhone/iPadでの併用運用も視野に入れるだろう。
だとすれば、なおさら三脚に別モニタをアーム接続できるよう軽量タイプではなく頑丈堅牢タイプの三脚にした方が、本格的に外で三脚を使う際に嫌な思いをできるだけしなくて済む。

マンフロットなら190シリーズ、ジッツォなどのモノが良く、ちゃんとするなら三脚の出費も抑えられないだろう。

この点でフルサイズにダイブするということは周りも育てる必要に迫られるというデメリットも認識する必要がある。

【最適なレンズ選び】

正直、予算で迷うレベル。

そこで、自分の今までのスナップ経験から、下記の一覧表を作ってみた。

撮りたいシーンに合わせてそれが撮れるレンズを見つけてみてはどうだろうか。


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ちなみに、私が揃えたレンズは 
  • FE24-105mm G
  • FE90mmF2.8G macro
  • FE100-400mm GM

この3つである。α7m3専用と言うわけではないが、MC-11経由のSigma 150-600mmCも在る。

FE24-104mmをタムロンのレンズに変更するのも良い。

但し、よく使うレンズは純正のレンズにボタンがあるモノを選びたい。操作面で格段に変わってくる。

今のところこれで充分であり、星空用の広角だけがどうしよう、と、悩んでいる。



【素直な感想と結論】
 

正直、このSONYのa7m3(ILCE-7M3)における「スタンダード」という謳い文句は「その通りだ」と言える。
本格的なカメラを検討しているなら、この機種は最適だ。今一番買いのカメラである。

 * * *

さて、ここから先はダラダラと雑感を述べたい。本音を吐き出してみたい。

このカメラ、ライバルはAPS-CでFUJIFILMのX-H1ではなかろうか。
キヤノンもニコンもペンタックスも基礎的なモデルとして考えると、相手にならない感じがする。 

APS-Cがライバル?とお考えな人も多くいると思うが、それはスペックだけを比較した場合での話だと思う。
同じくらいのスペックを持っていて、「フルサイズ」への憧れを取り重さを妥協すれば「SONYのa7m3(ILCE-7M3)」だが、重いのは嫌だ、となった瞬間に候補はX-H1しかないのが現状ではないだろうか。
本体の重さはむしろX-H1の方が重いのだが、レンズトータルでの運用は圧倒的にAPS-CであるFUJIFILMのXマウントシリーズに魅力がある。
フルサイズのSONYのEマウントでレンズを揃えていけば、Xマウントのレンズの2倍以上のお金が飛んでいく点も注意が必要だ。 

FUJIFILM側もSONY側も、他社のレンズをAFでコントロールできるアダプタが揃い始めている。
純正レンズで全体的な軽さを重視すればFUJIFILMが有力だ。SONYのa7m3(ILCE-7M3)は、フルサイズといっても24MPのセンサーなのだ。
感度や色の再現の面ではフルサイズな分有利だが、ドットの量はX-H1とほぼ同じなのだ。この点を忘れてはいけない。

そのため、SONYのa7m3(ILCE-7M3)を選ぶならその優位性を大きく伸ばさなければ高いお金を出す意味がない。
つまり、圧倒的なクオリティの「G」または「Gマスター」レンズとのセットでの検討が望ましく・・・、というより、このGかGMレンズを選ばないなら、買う側にとってフルサイズセンサーの必要性とはなんだろうか、と考えさせられる。

GかGMレンズを買い続けていける財力や体力を持っているなら、当然FUJIFILMのX-H1よりSONYのa7m3(ILCE-7M3)の方が魅力的だ。

AFは圧倒的にこちらの方が良い。X-T2比較だが、ペットを撮るにしても圧倒的に高感度とピント追従や広範囲の位相差AFが強い。
室内での撮影では今のX-H1やX-T2よりもSONYのa7m3(ILCE-7M3)の方が圧倒的に撮りやすい。 8/10の成功と3/10の成功を比べる体感差だ。一回の連写でa7m3(ILCE-7M3)は失敗がまずない。

フルサイズセンサー、とりわけこのa7m3(ILCE-7M3)は、コントラストAFでも位相差AFでも非常に幅広い範囲でのピント合わせが可能で、通常のピントも、ポートレートでの瞳AFも強力なのだ。

撮影に圧倒的な信頼を得たいならα7m3は非常に魅力で力になってくれるだろう。

正直、今までPENTAXや様々なコンデジ、FUJIFILMのカメラ等の色んなタイプのものを触ってきたが、R3との比較も含めて、一番簡単に撮れるのが、このa7m3(ILCE-7M3)だ。

但し、操作感やUI等、慣れるまでの設定調整や訓練は必要だと思う。 ただし、誤動作を誘発するタッチによるメニュー操作を全面的にオフにしたのは素晴らしい英断だ。

下手にタッチに対応していたらもっと意図しない動作でイライラしていたことだろう。
また、メニュー周りを覚えたり、AFのモードやフォーカスのモードについて慣れと用語の学習は必要だ。
高い買い物で、何も考えずに撮っていく、と言うのは虫が良すぎる。

ちゃんと使うんだ、という意志を持って買う人には非常にオススメな機種だと思う。

まぁ、欲を言えばクロスバーとかタッチを活かしたスマフォライクなシンプル操作を目指して欲しいところ。コレは次の世代に期待かな。

私自身、併用して思ったのはRを必要とするかどうかは「マクロ」や「圧倒的な解像感」が必要かどうかを中心に考え、次にその先に百万レベルの投資も厭わない前提で良いか、それが平気かどうかで判断すると良いだろう。

たまたま先にあったから良かったが、Rを選ぶとiMac5Kや増設用のテラバイトクラスのSSDのような記憶域が必須になる。

使う意思のある人には非常に魅力のある機種なのは間違いないが、周りも疎かにはできない。


さて、はっきり言おう、レフ機の時代はこの機種の登場がターニングポイント。


撮る際に結果がその場で見えず、位相差のカバー域が狭い上にサイレント撮影も出来ないレフ機の時代はもう終わったと宣言できる。今のレンズはミラーレスでも使えるので尚更だ。

これからこのa7m3(ILCE-7M3)を選択せずにレフ機を買う、と言う選択もありだろう。
どんな時代でも、オールドが好きという人は居るわけで、環境を変えるのには勇気がいる。

iPhoneが出た時も、MP3が出た時も同じだった。古いものが使いやすいと言う人はたくさんいた。その切り替わりの当時は、と、限定だが。
不自由を愛でるか、今の時代のスタンダードで楽しむかは個人の自由だと思う。
古いレンズも今のレンズも使えてAFも良く、高感度も良い。色んな機能がそつなく揃っている。

買わない選択肢があるとしたら、金額だけじゃないだろうか。

今でもデジタルではないカメラが好きな人もいるが、それは少数だ。これはようやく全部デジタルになったカメラの新スタンダードなのだ。

SONYはこの完成度の高いレベルでスタンダードと言い切った。

各社は今後価格が下がっていく過程でもその下がった価格のスタンダードと勝負することになるわけで、今までゆっくりしてたメーカーにとっては最後通告みたいな商品だと思われる。
このモデルに勝つには、下記のように秀でた面をもつ商品でなければ価格でしか相手にされなくなるだろう。

  • スペックが同じレベルで圧倒的に使いやすいUI (操作感)
  • レンズを含めた価格帯もしくは圧倒的なレンズ性能(コストパフォーマンス)
  • レンズトータルで軽い(持ち運びやすい)
  • JPEG 撮って出しで色が良い(手間がかからない)
  • 突出した解像度か高感度(ユニーク)
くらいしか残されていないと思われる、それほどまでに、このa7m3(ILCE-7M3)は凄い。
センサーで突き抜けた技術を持つSONYを追える企業は、フルサイズ帯にはもう居ないのでは・・・。

最後に、X-H1を褒めているような書き方もしているが、近々に新しいセンサーのモデルが出て来るだろう。だから買って欲しいと宣伝しているわけではない。その点はお含みおきいただきたい。



レビューとダラダラは、これで終わり。